2016年5月15日日曜日

矛盾を感じながら

僕の好きな番組の中にNHKの「ドキュメント72時間」という番組があります。同じ場所で72時間カメラを回し続けて、そこに登場する人たちにその場所に来ることになった事情などをインタビューするというものです。その中でこんな話がありました。


場所は仙台の食堂。仙台には震災以降、復興景気で人が来られたそうです。津波を防ぐ防潮堤を作る建設業のある男性。仕事を求めて大阪から。その方は復興の仕事に就くことに後ろめたさがあったと言います。

建設業は何かが壊れないと、潤わない。でもそれが人の死や不幸の上に成り立っていることに引け目を感じる。そんな思いで現場に行って「復興の工事をさせてもらいます」と言うと、地元の人は「ありがとうな、助かるわ」と言ってくれる。それを言ってもらえると、今生きている人に対してちょっとは手助けできてるんだなと思えて、仕事へのやる気が出てくる。

この話を見たとき、僕の仕事も全く同じだなと思いました。以前にもブログで書きましたが、医療という仕事は人の不健康の上に初めて成り立つ仕事です。これは穿った見方ではなく、一つの事実だと思っています。でもこの建設現場の方の場合と同じように時に感謝してもらえることで、仕事へのやる気が出てくる。なんとも矛盾している話です。でもそんな矛盾を医療人は忘れてはいけない気がするんです。日本社会では医療というと人の役に立ついい仕事(そうでない仕事なんてあるのでしょうか)というイメージがあったり、医療人自身がそう思っていたりします。僕はそんなことはないと思います。不健康な人が来られて、その人を治して、喜んでもらうことでまた僕たちががんばれる。ただそんなことの繰り返しをしている。ただそれだけのことです。





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