2015年10月28日水曜日

どうしていいかわからないから疲れる

診療をしていて、やたらに疲れるなと思うときがあります。それは患者さんの状態がわからないときです。状態がわからないから、どうしていいか迷うし、暗闇を歩くかのように怖くなり疲れる。

小児科医として、精神科医として病院で当直してるとき、他の先生が主治医の重症の患者さんを診ることはすごく怖いものでした。それはその患者さんを診るのは初めてだし、重症でもある。何が起こるか予測がつかない。

これは他の仕事も同じだと思います。新しい仕事を始めるときに疲れるのはまだその仕事の本質や勝手がわからないからです。疲れないためにはその仕事の本質(僕なら患者さんの状態の本質)を早く見つけられるようになることが肝要なのだと感じています。

2015年10月21日水曜日

生き残るために自分を追い込む

日経新聞で、「本田道」というコーナーが時々あります。サッカー選手の本田圭佑選手へのインタビューを載せています。今日はサッカー選手の育て方という題名。長年サッカー日本代表をみてきて、定着できる選手と消えていく選手を分ける一つの条件に気付いたそうです。

「それはある程度、幼少時代に追い込まれた、あるいは自分で追い込んで無理して肉体を鍛えた選手ほど、今の日本代表に残っている」

肉体的にも精神的にも自分を追い込むという状態を経験した人は生き残ることができるそうです。クリニックの開業医、精神科医、医師の業界は今の日本では追い込まれるとか、サバイバルな意識があまりに少ない気がします。バブル崩壊を迎える前の日本は銀行、証券会社、大企業が潰れるなんてことは多くの人が想像しなかったでしょう。でも現実にはそういう大きな組織が崩壊することが証明された。公認会計士や弁護士という特殊な専門職でさえ、就職先がないというニュースが新聞の上を踊ります。過剰でコンビニよりも多いという歯科医院。もうこれだけ条件が揃えば、医師も過剰な時代が来ることは間違いありません。

平時のときは誰でも楽に過ごせます。有事のときに生き残ることができるかどうかは、サッカー日本代表と同様、自分を追い込んだことがあるかどうかが、そのあとの道を分けるのかもしれません。古代の人類の歴史が証明しているように、人生はサバイバルだと僕は思っています。子育ても同じでしょう。有事のときに自分の子供がこの世の中で生き残れるのか。そのために親としてどこまで自分の子供を追い込めるのか、どこまで追い込めばいいのか。その気持ちを親として持っておくことが子育てをする上で最も大切だと思います。

2015年10月18日日曜日

夜尿症には薄い味付けで

夜尿症ってどうすれば治るんでしょうね。治し方はいくつもあると思いますが、基本的な対応と僕の個人的な印象を述べさせてください。

夜尿症の診断はまずは身体的な疾患の除外から始まります。治療法には精神療法、薬物療法もありますが、まずはなんといっても生活指導です。

基本的な生活指導としては以下の3つです。

1.飲水制限
夕食時の水分をコップ1杯までとして、就寝前2時間は飲まないようにします。真夏などでどうしてものどが渇く場合には氷1つを口に含んでもらうこともあります。

2.就寝直前にトイレへ

3.早朝6時から7時に起こしてトイレへ(早朝に失敗する子が多いため)

これを守っていただくだけで、半分以上の子どもたちは夜尿が改善します。

ここからは僕の印象です。2つあります。

a. 全体に肥満傾向の子に多い。
やはり食生活が気になります。味付けの濃いものを食べることが多いと、当然のどが渇くので飲水量は多くなります。

b. スポーツドリンクをよく飲む子に多い。
スポーツドリンクは口当たりがよく勢いよく飲んでしまうため、全体の飲水量が増えます。それとスポーツドリンクの組成は熱中症の予防にいいという話がありますが、組成としては糖分が多く、ほぼジュースと同じです。なので、ジュース同様にのどの渇きが強まります。

もし、この2つがあるようであれば、これらを改善していただくだけで、不要な飲水量が減り、夜尿症が改善する可能性があります。水分を欲しがらなくなるし、痩せる。一石二鳥かもしれませんね。

2015年10月15日木曜日

新聞の魅力

日本新聞協会が財務省が出した軽減税率制度の導入に反対するということから、新聞についての特集記事がありました。その中で、作家の林真理子さんが新聞は「無知を知る第一歩」、「国民と文化と教養の基本」であると書いておられました。

僕は林さんの小説は読んだこともなく、エッセイを数冊読んだり、テレビで出演されてるのを見た程度ですが、さすが視点が鋭く、的確に短かな表現をされるなと思いました。僕も林さんのように上手に文章を書きたいと思っています。

みなさんも新聞についてのご意見はあると思いますが、ここからは僕の新聞に関する私見です。NHKのニュースは事実だけを伝えるということで、もちろん大きな意味がありますが、新聞のニュースがNHKのニュースとは違うのは事実だけでなく、新聞記者の意見や視点が感じられ、それに刺激されて自分の意見が頭の中で想起されやすいところに新聞の魅力があると思っています。民放のニュースは専門家でもなんでもない人がどちらでもいい意見を言うので、あまり見ません。少なくとも新聞記者はニュースから自分の意見を活字にして展開するプロです。書いてあることの是非ではなく、活字のプロの人たちの文章に廉価で毎日触れて、多くのことを考えさせてくれる、なんとも贅沢だなと思います。

2015年10月11日日曜日

開院して2周年のアンケート

開院して2周年を迎えることができて、今年も患者さんにアンケートを実施しました。

今年は全体的な満足度だけでなく、項目を医師、看護師、心理士、受付など、部署ごとに、5段階評価(とても満足、満足、普通、不満、とても不満)としました。


とても満足または満足に⚪️をしていただいた方の割合


1. 当院に通院していただいて満足されていますか? 84%

2. 予約時の対応は? 83%
3. 当院の雰囲気は? 87%
4. 受付の対応は? 91%
5. 医師の対応は? 87%
6. 看護師の対応は? 87%
7. 心理士の対応は? 86%
8. 診察時間、待ち時間は? 53%
9. 今後も通院したいですか? 89% 

診察時間、待ち時間以外の項目で80%以上のご評価をいただけたこと、本当に嬉しく思っています。僕は自分自身が勤務医をしながら、「自分が開業するならこうはしないな」と思うことが数多くありました。それらを具現化したのが今の宋こどものこころ醫院です。もちろん開業してからも日々の改善すべきことを探して、改善してきましたし、これからも改善し続けていきます。


フリーコメントにいただいたご意見をゆっくりと読んでいて、本当に忌憚のないものばかりでした。

改善してほしい内容でもっとも多かったのは診察時間が短いこと、椅子がほしいでした。高評価いただいた内容でもっとも多かったのはすべての部署のスタッフの対応の良さでした。

一番うれしかったのが「先生やスタッフみなさんのおかげでホッとできます」というお言葉。これは僕が院長として経営者としてもっとも大切にしていることです。それでなくても辛いことを抱えて来られる患者さんやご家族にホッとしてもらうこと。これ以上に大切なことはないと僕は考えています。

改善すべきこととして、診察時間の短さをたくさん挙げていただきました。実際、再診の診察時間は5−10分であり、これを長くすることは今の時点では困難です。しかし、これは僕の技量不足であり、この時間内に満足していただけるように技量を上げることが必要です。


そして何よりも大切なのは今回のようなありがたい評価を今後も続けていくことです。1、2回はまぐれです。継続できなければ、何に意味もありません。そのためにこれからも宋こどものこころ醫院スタッフ一同、邁進してまいります。

2015年10月7日水曜日

自分を俯瞰するといいところが見えて来る

先日、僕の師匠(勝手に師事してる)の龍谷大学の東豊先生に僕の患者さんのことでに相談したところ、「この方、もうよくなってるやん。何が問題なの?」と言われ、頭の中に衝撃が走りました。

その診察では患者さんはニコニコしてお話してくれているのに、僕が「まだここが問題だ」と執着しているという構図でした。東先生の言葉を聞いてからもう一度自分の診察を「実はよくなってるんじゃないかな?」という視線で振り返ってみました。すると初診から比べて明らかに状態は改善しており、お子さんもお母さんも機嫌よく日常生活のことをお話してくれていることが見えてきました。よく考えてみると、これまでも患者さんが初診のときには訴えていた内容についてはほとんど言われなくなり、診察での会話が症状や問題とは別の楽しい話題や取り留めもない日常生活の話になることは実はよくあったことでした。

僕の中にはこれまで自分はまだまだできていないという思いや前提が常にありました。いつも患者さんが初診で言われた主訴で自分を縛って身動きを取りにくくしていたんです。でも今回の気づきを与えていただいた事で、自分の診療が大きく変わりました。格好よく言えば、広く自分の診療を俯瞰できたというか、自由になれた気がしました。僕を縛っていたのは僕自身でした。

僕は患者さんに対して、「できてるところを見つけて注目していきましょう」とよく言います。でもそれができていなかったのは実は僕自身だったんです(笑)。

不登校やひきこもりから回復した子どもたちの親御さんたちの多くに共通して言えることは、親御さんがお子さんや家族の状態を俯瞰できていることです。俯瞰できると冷静になれるので、いいところが見えて来るのです。

人は自分の状態を俯瞰するということに慣れていません。ただ自分の状態を俯瞰するということを少し意識するだけで、心が楽になれるようです。みなさんもご自身を俯瞰する練習、ぜひしてみてください。俯瞰できたとき、これまでと違う世界が目の前に広がっているかもしれません。

2015年10月2日金曜日

爪かみはストレス?

「この子が爪を噛んでいるんですけど、何かストレスがあるんでしょうか?」

本当によく聞く質問です。かく言う僕も子供の頃に爪を噛んでいた記憶があります。

ストレス→爪噛み

この理屈が間違っていると言いきることはできないでしょう。確かにそうかもしれません。ただ、ストレスを受けた子たちがすべて爪を噛むのであれば、子どもたちは全員爪を噛まなくてはいけまません。なぜならいくら子どもであったとしても、ストレスというものを完全に避けることはできないからです。愛情が足りてないから指しゃぶりするという説も同じです。愛情が足りてない子たちがすべて指しゃぶりをしているなら、不遇な環境の子たちは全員指しゃぶりをしていなくてはならなくなります。

この質問をしてくれた親御さんの本当の意図は「爪噛みをやめさせたい」ということでしょう。

大切なのは爪を口に運ぶことが始まったときにどう対応しているかです。すべての行動に言えることですが、新しい行動が始まった時に、それをやめさせる働きかけをしっかりする(物理的に止める、言葉で注意するなど)かどうかで、その行動が続くのか止まるのかが決まります。自閉症の子たちのこだわりも同じです。自閉症の子たちは生まれたときから電車が好きだったり、くるくる回るものが好きだったりするわけではありません。それらに何度か接しているうちに、それがこだわりになるわけです。蛇足ですが自閉症の場合、くるくる回るものというのは同じことが繰り返されているからこだわりになりやすいわけです。

繰り返しになりますが、同じ行動やこだわりを作らないためには早期にそれをさせない対応をすることが肝要です。させない対応をしないとその間に、本人が何らかのメリットを感じてしまうからです。例えば、爪を噛んだときにしっくりくる歯ごたえや噛んだときの音かもしれません(僕はそんな感覚で噛んでいました)。つまりはこちら側が様子を見すぎているわけです。子どもに注意するときも同じです。勉強しさない、テレビを消しなさい、寝なさいと言ってから、そのうちするだろうと5分、10分と待たれる方がいます。

何か好ましい行動をしてほしいとき、好ましくない行動をやめさせたいときは早期に介入するのが最も楽で効果的です。。最初にしっかり止めてあげれば、爪かみはストレスなのかなと親としての悩みを深めなくてすみます。子育ても同じです。幼い頃に親としてどんなことを教え、どんな接し方をしているのか大切だと思います。「まだ小さいから」という理由で様子を見すぎないでくださいね。