2015年7月12日日曜日

すでに患者さんは治療の術を僕に教えてくれていた

これまでの自分の診療を振り返って、今になってようやく気づくことがたくさんあります。あの時の診療でうまくいかなかったのはあそこをミスしたからだな、こうしていればまた違っていたのかな、今ならこうするかななど。もちろん、今も診療のあとに、あっ、完全にミスした!っと思うこともあります。ミスしたことに気づくのは僕自身か、僕の診察を見てわかる人だけでしょう。おそらく患者さんは僕がミスしたとは認識されず、怒って帰ってしまう、なんとなく後味が悪いなと感じる、そのまま過ぎていけることもあるかもしれません。

ウイリアム・オスラー(William Osler)という19世紀から20世紀初頭に医学の発展に大きく貢献した医学者がいました。この先生は数々の名言が残されています。その中でこんな言葉があります。

 Listen to the patient, he is telling you the diagnosis.

患者の話を聴いてみて、患者はあなたに病名を話しているよ、とでも訳すのでしょうか。

最近、気づいたことがありました。患者さんは診察室の中でご自身の辛いことを話したり、話せなかったりしながら、僕に治療に役立つ多くのサイン(情報)を送ってくれています。それを今までの僕はちゃんとキャッチできていなかった。つまり患者さんの話の中でどれが治療に役立つのかがわかっていないから、治療がうまくいかない。大事なポイントをたくさん見逃していました。恥ずかしながら、今もまだ見逃していると思います。逆に大事なポイントだけを間違わなければ、治療法は見えてくる。患者さんの症状や話している内容を上手に取捨選択できる人が実力のある医者なのでしょう。今の自分が以前の自分の診療を振り返ることで、多くのことが見えてきました。

今、僕が最も強く感じることは、すでに患者さんは治療の術を僕に教えてくれていたということです。これからはそれをできるだけ見逃さないよう、日々の診療に臨んでいきたいと思います。

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