2014年10月10日金曜日

日本一自殺率の低い町

自殺率を高める因子(病気、貧困など)はたくさん研究されてきました。それに対して自殺を予防する因子が研究されることは少なかったようです。それを研究されている方の記事を新聞で読みました。和歌山県立医大の岡檀(おか まゆみ)先生です。

自殺を予防する因子を調べたいと考えた岡先生はその日本一自殺率の低い町、徳島県海陽町を訪れて、3300人へのアンケートに加えて、聴き取り調査を現地で行ったそうです。それによると、赤い羽根募金が集まりにくい、老人クラブ加入率が低いなど、他の人と足並みを合わせるのではなく、いろんな人がいたほうがいいという気質が浮かび上がってきたそうです。また、海陽町では昔から「病、市に出せ」という言葉があるそうです。病とは対人関係のトラブル、事業不振など人生における辛いこと。つまり、やせ我慢はやめて早めに弱音を吐けと勧める意味だそうです。なんかホッとしましたね。

これまで自殺予防には絆や人とのつながりが重要であるといわれてきました。しかし実際に自殺多発地域では緊密な人間関係がゆえに、かえって悩みや弱みを出せずに助けを求める行動ができないことも明らかになったそうです。絆って耳触りのいい言葉ですもんね。岡先生の調査の結果では海陽町では生活面で協力する人は少なく、立ち話やあいさつ程度のあっさりとした関わりを持つ人が大部分だそうです。つまり、ゆるい結びつきが海陽町の特徴だそうです。

患者さんから、社会の中で自分の悩みを打ち明けたら、まわりから何か言われる、批判される、もう大人なのに意気地なしで我慢ができないと思われるということをたくさん聴いてきました。また僕たちは子どもの時から我慢だとか、絆を大切にしなさいという言葉を聞きすぎて、その呪縛から逃れられない部分もあります。

僕は子どもの時に規範、我慢、絆を教えてもらい、それを大人になるにしたがって部分的に緩めていいところを徐々に知っていくことこそ、大人になることではないかと考えています。絆にしても相手によって異なる適切な距離を知ることも大人になること。

大人になりながら、自分なりのさじ加減を知ることができれば、生きやすくなるのではないかと思っています。

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