2014年6月11日水曜日

将棋盤をひっくり返して考える

羽生善治さんの本の中にこんなことが書いてありました。対局中に次の一手に困った時には目の前にある将棋盤をひっくり返して考えるそうです。それは相手から見た自分を想像するためです。今、相手は自分をどう見ているのか。それが見えると、自分が次にどう指せばいいのかが見えてくるそうです。

以前、ブログに書きましたが、僕にとって精神科診療は将棋の対局です。対局相手、つまり患者さんのことを想像すること。これは精神科診療においてもっとも大切なのではないかと考えています。つまり、診療中に今僕が話していることをこの患者さんはどう考えているのか、どう感じるのか、どんな言葉がその人の琴線に触れるのか、治療的に働くのか。さらに、できるならば、想像力を働かせて、その人の目から見た今の日常はどんな風に見えているのかを想像することです。それが見えた時にはかなり治療はしやすくなると思います。限りなくその患者さんが見ている視線に近づくので、こちらの言葉が的を得るようになります。

診察を重ねるごとに、その人の治療がうまくならないといけない。僕の師匠の山上敏子先生のお言葉です。わざわざ僕のクリニックに来てくれる患者さんに対して、僕はできるだけ治療がうまくなりたいです。

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