2014年5月23日金曜日

正面から向き合って、最後まで最善を尽くす

治療が難しい患者さんの治療に向き合うとき、内心、「もうこれ以上の治療法はありません。わかりません」と言いたくなる時があります。でも僕はたとえそう思ったとしても、医者として最後まで「わかりません」という言葉は言ってはいけないと思っていました(精神科の治療的に言うことはあります)。そこで医者が白旗を上げることは、患者さんを絶望させることがあるからです。

先日のプロフェッショナルで兵庫医大の外科の笹子先生が出ていました。日本での胃がんの最後の砦と言われる先生だそうです。

あるとき、長年治療をしてきたがんの術後の男性患者さんに先生は「治療法がないから、残りの日々を大切にしましょう」と提案しそうです。その方の死後、その方の奥さんから先生に来た手紙の中に、こんなことが書いてあったそうです。

「先生には申し上げられませんでしたが、治療法がないと言われた時から、あるワクチン注射を始めました。やはり効果はありませんでした。でも私たち凡人は何か少しでも効果がある具体的なものがあると、安心できるのです。とても恥ずかしくて申し上げられませんでした」

笹子先生はこんなことが患者さんのところで起こってるんだなと感じたそうです。その手紙を読み返しながら、泣いておられました。

そして笹子先生は「一番教わったのは患者さんからです。手術だけじゃなくて、1回1回逃げないで正面から向き合うことが大事なのかなと思います」とおっしゃっておられました。

一番教わったのは患者さんというのは僕も全く同じことを考えていました。そして患者さんはどんな大きな病気であったとしても、最後の最後の瞬間まで、希望を捨てたくない。その時、たとえ自分の手に治療法がなかったとしても、逃げないで正面から向き合う姿勢が大切なのだと改めて思いました。

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