2014年5月19日月曜日

成長には段階がある

以前、あるお鮨屋さんに行きました。そのお店の大将は僕と同じ30代半ば(正確には僕より1歳年上)。大将と若い男の子の2人で店を切り盛りされていました。店に入った瞬間から、その大将の緊張感が伝わってくるのと同時に、大将のあたたかい笑顔がありました。「苦手なものはありませんか?」、「どんな感じのお酒がよろしいですか?」。お鮨屋さんならごく普通の質問ですが、あたたかい声をかけていただきました。

他にお客さんがいなかったこともあり、大将といろいろ話をするようになりました。お店を始められて4年が経ったこと、新鮮な魚の見方、大将の師匠のお話などをお聴きしていました。それによると、ネットや広告などは出さないそうで、以前は禁煙にはしてなかったのを、禁煙にした途端、お客さんが減ったそうです。それは大変ですねと僕が返すと、「ほんとに大事なお客さんを少しずつ増やしたいんです。成長するには段階がありますから。飛び越えてあまり大きく成長しないほうがいいと思うんです」

同じ世代の人の言葉とは思えませんでした。相当苦労されてるんだなと感じました。

成長には段階がある。

僕は自分の性格上、せっかちすぎてすぐに結果を出したいので、常に次の一歩を目指してしまい、焦りばかりが前に出ます。でもそんなに簡単に結果が出るわけがない。日々の積み重ねがある日、花を咲かせるわけです。商売が少しうまくいくと、急にたくさんの店舗を出して、宣伝を派手にして、倒れていくお店や企業はたくさんありますよね。こんな僕にもテレビや新聞の取材が来たことがあります。でも、どう考えても今の僕は何かコメントしたり、取材を受けて広く話すレベルにない。僕に依頼が来る理由は簡単です。ただ単に大阪で児童精神科医が少ないから。それだけです。僕が何かすごいわけじゃない。しかも、もしそれでテレビや新聞に僕が出たりして、患者さんが一時的にたくさん来たとしても、今の僕の実力、体力ではただ単に患者さんをこなすだけになってしまう。一人一人の患者さんの期待に添えなくなってしまう。むしろ、その波に飲まれてしまい、自分が疲弊しそうでした。そうなると、今僕のところに来てくれている患者さんに迷惑をかけるだけでなく、自分もつぶされてしまう。そんな予感がしたんです。


無理な広告をせず、一気に仕事を広げない、目の前のお客さんを大切にして、ゆっくり成長していく。この大将なら、お鮨屋さんでお客さんにおいしくお鮨を食べてもらうためにはたばこの臭いがしないほうがいいに決まってるわけです。それで愛煙家のお客さんが減ったとしても、喫煙しないお客さんには確実に喜ばれます。繰り返しになりますが、やはり、目の前のお客さん一人一人に満足してもらうことが何よりも大切。目先の利益ではなく、時間はかかっても目の前の小さな結果を積み重ねていく。その間にゆっくりと自分の実力と体力をつけていく。それが本当の意味での成長なんだと考えています。

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