2014年4月2日水曜日

春のお遍路


みなさん、お遍路をご存知でしょうか?僕は毎年春にお遍路に行きます。

弘法大師(空海)が四国を歩くことで修業をしたとされ、それにゆかりのあるお寺八十八か所をまわることでご利益が得られるというものです。ただ、僕は何かご利益を得るためというよりも、ただひたすら早朝から夕方まで1日中歩くだけという非日常に自分を置いて、自分を充電することが目的です。ちなみに、八十八か所のお寺をすべてまわれば、総距離は1200km程度と言われています。もちろん、通しでまわれるわけはありません。中には通しで回る人もいますが。。。僕は1日20-30km程度しか歩きません。しかも分けて行くので、1回のお遍路で多くて3-4か所のお寺をまわります。

僕が初めてお遍路に行ったのは2008年の春でした。その当時、僕は大阪の病院から東京の病院に移る前で、忙しい日々の生活に疲弊していました。その時、弟からお遍路はいいと言われ、何がいいのかもわからず半信半疑で四国に行きました。その際に通りかかった室戸岬を望む丘に立ったとき、弟が「ここええやろ」との言葉で、自分の中で何かが切れたかのようにむせび泣きました。30分は涙が止まりませんでした。でも自分自身でもなぜ涙が止まらないのか説明できないでいました。そのあとに、「ああ、自分は疲れているんだ」と気付いたのです。

それ以降、毎年気候がよく、桜や菜の花がたくさん咲き、文旦、はっさくの実がたくさんなる春に四国に行きます。きれいな花は見放題、柑橘類は食べ放題です(笑)。お遍路に行くと、5時に起きて朝食をとり、6時から夕方までただひたすら歩きます。その間に美しい四国の景色を見て(これがメイン)、他のお遍路さん(お遍路に行く人をこう呼びます)と話をし、地元の人からお接待(食べ物、場合によってはお金のことも)をいただくこともあります。四国の人たちはお遍路さんというだけ話しかけてくれたり、やさしかったりします。そして、夜は民宿で食事をしながら全国、あるいは外国(韓国、中国、アメリカ、シンガポールの人に出会ったことがあります)から来られたお遍路さんたちと身の上話をすることもあります。その時に感じるのはお遍路に来られる人たちは人生で何らかの悩みや事情があって、来られる方が多い気がします。

さて今回、高知県の中村でタクシーに乗ったのですが、運転手さんの手が震えていて、スピードも40キロくらいしかでないし、ブレーキのタイミングも遅い。怖すぎます。どうみてもその方は80代でした。助手席の前にある運転手さんの生年月日に目をやると、64歳。写真も異様に若い。気になって「お若い時の写真なんですね」と僕が言うと、運転手さんは「それ俺じゃないよ。俺の車は今友達が遠くまでお客さんを送ってるから。」とのこと。つまり他人の車でタクシー営業をしているわけです。僕はもちろんそんなタクシーに乗ったのは初めて。まったく悪びれる様子もなく普通に答えるその姿に笑いを抑えるのが大変でした。

こんな出会いもお愛嬌です。人生に疲れたときの一つの選択肢としてお遍路をお勧めします。

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