2014年3月11日火曜日

最後の山上敏子先生の外来授業

今日も福岡に来ました。今月で山上敏子先生が一旦臨床からは離れられるとのことで、今日で僕の山上敏子先生の外来授業は最後です。

2年前の2月に山上先生の行動療法のご著書に出会い、頭の中に電気が走るくらいの衝撃を受けました。そして翌月の3月に大阪に来られた山上先生の講演をお聴きし、まずは一度外来の見学をさせてもらいたいと思い、講演の1週間後には先生のいらっしゃる病院に電話しました。講演会で僕は質問しましたが、先生が僕のことを覚えてらっしゃるわけもありません。電話口で「ぜひ一度外来を見学させてください」とお話しすると、「そんなの意味ないからやめときなさい」とぴしっと言われました。でもその時の僕は自分に武器となるものが何もなかったので、そこで引き下がるわけにはいきませんでした。なんとしても自分にはこの技術が必要だと思いました。押し問答を15分ばかりしたでしょうか。先生も外来の時間が迫っていたことも幸いしてか「じゃあ、とりあえず来る?」と言われ、4月に初めてお伺いしました。実際にお会いすると、大阪から来たことも手伝ってかすごく優しく接してくださり、「何でも質問しなさい」とのお言葉。目の前で外来を見学させていただくことでご著書や講演でのお話の意味が自分の中に浸透してくることを感じました。1回目の外来見学が終わった後、「来月も見学に来させていただいても大丈夫でしょうか?」という僕に、「えっ?来月も来るの?」みたいな表情をされたことを思い出します^^

それからほぼ毎月福岡に通いました。1年が過ぎたころから僕の中では福岡のおばあちゃんに会いに行く感覚でした(失礼すぎて山上先生にはお話できていません(笑))。あれからちょうど2年。その間、診療の中で何度も思いましたが、もし山上先生に出会えていなければ、僕は今の患者さんの半分以上はどうしていいのか、検討さえ立てられなかったと思います。治療の糸口を探す灯りになってくれるのが山上先生から学んだことであり、「このとき、山上先生ならおそらくこうするだろうな」と思いながら診療しています。そのすごさを一言でいうとすれば、「どんな患者さんが来てもとりあえず何となく道筋が見えてくる」ところなんです。精神科外来に来られる方々は本当に多様な訴えを持たれています。その時に道筋が見えるかどうかは当たり前ですが、生命線です。

今日は山上先生に最後の質問をしました。「50年以上も臨床を続けられる秘訣は何ですか?」。「生活のため、生きていくため」とのお答え。何か特別な答えを期待していた自分が恥ずかしくなりました。

山上先生には何物にも代えがたい精神科医として武器をいただいたと思っています。この感謝の気持ちを今の僕の乏しいボキャブラリーでは表現できません。この感謝の気持ちを忘れずに、もっと勉強して、山上先生が常におっしゃる自分なりの治療法を確立したいと考えています。

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