2014年3月1日土曜日

子どもには荷が重すぎる

先日の映像‘14「ここにおいでよ~居場所を失った10代のために」を見ました。この番組は関西ローカルのドキュメンタリー番組です。

大阪にある公立高校の中に大阪府の委託を受けて子どもたちの居場所「となりカフェ」ができたそうです。ここに通う高校生たちが放課後に担当の相談員の方に話を聞いてもらう、友達同士で話し合うための場所です。つまり居場所のない子どもたちの集まる場です。そこは学校でも家でもない居場所なのです。

親がいない、生活費がない、学費がないから進学できない。バイトがしたいとスーパーの面接を受けたら保証人が必要なので、親に頼んだらそれを拒否された子。となりカフェに来て、相談員の先生の前で声を上げておいおい泣いてました。そこで相談員の先生がバイトの保証人になってあげていたんです。

またある子の言葉。「人生いろいろありすぎ」。中年の大人の言葉ではありません。10代の台詞なんです。

大人でも辛いことなのに、10代の肩にはあまりにも重すぎるものがかかっていることを感じました。これまで子ども家庭センター(児童相談所)、特別支援学校、乳児院、児童養護施設で厳しい境遇の子どもたちに会ったり、その子たちの話を聞いてきたはずなのに、改めてその厳しさを感じました。

冷めきった目。無気力な表情。「別に夢なんか持ったことない」。子どもでいたくてもいられない、早熟せざるを得ない理由がそこにはありました。早く大人にならないと、冷めた自分にならないと自分の心が守れない。

もうこうなると治療とかいうものではなくて、支えることが大切になってきます。一般的によく言われることですが、学校、医療、行政、福祉、民間のネットワークなど、あらゆるものが必要になる。外来でいくら僕らが診療しても、そんなものはほとんど役に立ちません。なぜなら彼らは目の前の「生きていくこと」に困っているわけですから。

僕が今、子ども家庭センター、児童養護施設、支援学校に行きたいと思う理由は外来では見えない世界が必ずあると思っているからです。自分が出会えていない子どもたちがいるはず。外来に来る子たちはごく一部です。いろんな事情から外来にさえ来れない子たちがいる。児童精神科医としてもそうですが、一人の人間として、自分に何ができるのか、長期的に続けていけるものは何か、じっくりと時間をかけて見つけられたらと思っています。


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