2013年10月25日金曜日

患者さんが自信を与えてくれる

先日、「患者さんに癒される」という題でブログを書きました。

それからまた感じたことがありました。

内科や外科では~という診察の所見と~という検査で診断して、~という薬で、~という術式で治療をします。それは医師、患者の両者にとって診断、治療の流れがわかりやすく明確で、あとから振り返っても、よくなった理由の説明がつきやすい。しかし精神科では診断は検査というよりは問診がメイン。治療は薬もありますが、精神療法という会話中心の治療であり、その治療というのは医師、患者ともにその効果がわかりにくいことがあります。やはり内科や外科に比べて、精神科は人のこころという曖昧模糊としたものを治療対象にしているので、それは仕方ないなと思います。

正直なところ、治療をしている自分が「どうしてよくなったのかわからないけど、よくなったなあ」ってことは結構あります。その理由が一つ一つ説明できないのは自分の技術がまだまだだなと思います。ただ、医師の技術だけではなく、こちらが気持ちを入れてお話しする、真剣にお話を聴く(この2つは本当に大切だと思います)、その人の人生の中での偶然、患者さん自身の努力、家族の協力、環境の変化など、多くの要素をもってよくなったんじゃないかという想像をしています。この時、治療者としては少し辛いものがあります。「あっ、よくなったのは僕以外の力なのかな」と考えてしまいます。

僕たち精神科医にとって、自分の治療が間違ってなかったともっとも感じさせてくれるのは一連の長い治療が終わった後に、「先生に出会えたからよくなれました」という患者さんからいただく一言な気がします。僕はその言葉をいただけた時、自分が医師のはずなのに、逆に患者さんが自分に自信を与えてくれる医師のように感じます。僕たちだって人間です。患者さんが心の底から発してくれる言葉は僕たち医師を健康にし、明日の診療へのエネルギーを与えてくれるのです。

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