2013年9月23日月曜日

治療は医者と患者の共同作業

人はおいしいものが食べたいと、レストランに行きます。
人は体や心の不調があると、病院に行きます。

この2つの違いは何でしょうか?

この2つの違いはレストランに行っておいしいものを食べるのはただ箸やフォークで食べることさえできればクライアントは努力が必要ないのに対し、病院で病気や症状をよくするためにはクライアントの努力が必要だということです。

それができない例として
・糖尿病の人が病院に通いながらも暴飲暴食をやめない。
・脳梗塞で手足が不自由になった人がリハビリをしない。
・外科で素晴らしい手術を受けたはずなのにタバコをやめない。
・内科で薬をもらったはずなのに、薬を飲まない。
・精神科で規則正しい生活をするように言われたのにしない。

例を挙げれば枚挙にいとまがありません。

児童精神科外来でも同様です。病院に来て、
① 親が子どもに「さあ、ここでは何を話してもいいから、思ったことを全部話しなさい」
② この子に「薬を出してください」
③ 「暴れるこの子を何とかしてください」。

病院での治療は「ただ物を買って終わり」というところではありません(ここが小売店と病院の大きな違いです)。診察室の中で子どもが思いを話した、薬を出した、暴れる子への対応を伝えたから終わりではありません。
たとえば①ならご家庭でその子の思いを話せるような環境を作ろうと努力されますか?②なら薬はちゃんと飲む、あるいは子どもが飲むように管理してもらえますか?③暴れる子への対応はご家庭で大変な部分がありますが、こちらが話した通り実践していただけますか?

つまり、治療は医者が一人で診察室の中でいくらお話を聴いたり話をしても、ご家庭で努力してもらわないとよくならないということです。1回の診察室の短かな時間で何かをしたからといって、これまで長い間問題になってきたことがたちまちよくなるような魔法はありません。それには医者と患者さん、その周囲の人の努力や工夫、時間など多くのものが必要です。「熱が出て、解熱剤で終わり」というようなことは医療の世界では多くありません。内科、外科、精神科に関わらず、医者だけでなく、患者さんの努力が必要なわけです。これを僕は医者と患者の共同作業と呼んでいます。

僕は精神科や児童精神科に来られて、よくならなれるのはどんな場合かとこれまで考えてきました。それは
1.医者の技量が足りている場合
2.医者と患者さんのお互いの人としての相性が合う場合
3.医者、患者さん、その周囲の人が「一緒に」ひたむきに努力を続けている場合
だと思います。

みなさんがもし医療機関を受診される場合には「医者と一緒に治療をしていくのだ」という気持ちで受診されることを強くお勧めします。

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