2013年9月13日金曜日

行動療法って

これまで何度となく、行動療法のことを書いてきたので、今日は行動療法って実際に何をしてるのかを書いてみたいと思います。

一番大切なのは患者さんの問題を「具体的にとる」というところです。丁寧に聴くということです。僕たち精神科医は患者さんに問診をしていく中でいろんなことを質問します。たとえば「やる気が出ない」と言えば、どんなときにやる気が出ないのか、何をしてる時ならやる気が出るのか、ご本人のいうやる気とはどんなものなのか。手洗いが止まらないのであれば、どんな時に手洗いをして、時間はどれくらいで、どんなときに短くなったり、長くなったりするのかなどを丁寧に聴いていきます。

つまり患者さんが言ったことをこちらは分かった気にならず、精一杯の想像力を働かせて、本当によくよく詳細を聴くということなんです。これに尽きるかもしれません。自戒をこめて言うと、患者さんに問診をして、「寝れない」といわれると「あー寝れないんだ」で片付けてしまうことがあります。でもそれは具体的じゃない。どんな布団で、明かりは消してるのか、一人なのか、何時に寝て、何時に起きてるのか、間に起きるのか、周囲は静かなのかなど、そこからいくらでも広がっていけるわけです。そしてここで問題になるのは診察時間の問題です。一つ一つを聴いていくとすごく時間がかかります。なので、僕は初診のときに極力たくさん聴いておいて、そこから自分の想像力でどんどん質問の幅を狭めていきます(でも再診を重ねていく必要はもちろんあります)。そうすると診察が進めば進むほど、こちらからの質問の数が減るわけです。具体的に患者さんの症状について知っていくと、こちらの想像力で「こんな風にしたらどう?」みたいにその中に治療の糸口が見えてきます。またどんな時に症状が軽くなったり、重くなったりするのか。その軽くなる時間帯を少しずつ伸ばしていくようにお話しすることが多い気がします。

わかったつもりにならない。これは本当に気をつけなければなりません。自分以外の人のことをそんなに簡単に理解できるわけがありません。1回の診察時間は限られているので、すぐに結果を出せるわけではありませんが、1回1回の診察で徐々に患者さんの状態を把握し、治療をしやすくしていきます。

山上先生がよくおっしゃいます。「その人が街を歩いてるときにどんな表情で歩いているのかを想像できるくらいまでその人のことを理解する」と。

僕が目指しているのは丁寧な問診と自分の想像力でその人の生活が映像で見えるくらいまでになることです。さらに言えば、その人が普段どんなことを思って、どんな風にこの世界を見ているのか。それを知ることができれば、かなりのところまで治療できるのではないかと考えています。


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