2013年7月29日月曜日

行動療法との出会い

精神科医になってすぐのころの僕は患者さんの診察をするときは主訴、病歴をとりあえず聞いて、支持的精神療法という名の親切心や親切な態度、薬物療法、利用できるサービスの提案、あとは思いつき。自分にあるのは薬と病気の知識と今までみてきた患者さんから得た経験の3つだけ。いつもなんとなく患者さんを診察していました。確かにそれも医者としての大切な技術。それだけでよくなる人はおられるけど、病院という看板が、医者という資格が、白衣が、薬が治してるのかもしれない。これは技術じゃない。自分が治療してる実感がほしくて小児科をやめたはずなのに、自分が治療してるという実感がない。精神科の経験が短い自分としては不安と虚しさを抱えたままで、自分がしてる治療とその方向性に自分自身が常に疑問を持っていました。治療者である自分自身が今患者さんに何をしてるのかさえ見えていない。はっきり言って自分の言葉、精神療法に何の根拠もないといえるかもしれない。僕の造語ですが、それは「丸腰精神療法」。武器がない。徒手空拳ですね。要するに何となく話を聴いて思いつきのアドバイスをしてるだけ。


小児科をしていたためか、人のこころという大海原の中でも客観的理由・根拠というものをいつも求めていました。そのときに行動療法の山上先生の本と出会いました。山上先生の診察を見せていただき、疑問をぶつけて質問し続けることで、一人の患者さんを目の前にしたときに「どこからどうしていったらいいのか」という方向性が少しずつ見えてきました。山上先生がいつも言われる「自分が患者さんに話したことは、そのたびに自分なりのその理由を言えないといけない」。これだ!と思いました。その時のその質問にはちゃんと根拠があって患者さんに質問する。それから少しずつですが、根拠をもって患者さんに問診したり、傾聴したりできるようになりました。大上段に構えてしまいましたが、行動療法が完璧なわけもなく、すべてなわけでもなく、僕自身まだまだわからないことばかりです。ただ小さな自信を持って患者さんと対峙できるようになったこと、これが行動療法を勉強して得た最大の収穫です。山上先生には現在も月1回、ご指導をいただいており、さらに技術を高めていきたいと考えています。

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