2013年6月13日木曜日

最後の当直

みなさん、こんばんは。

今日、僕は人生でおそらく最後になるであろう当直をしています。

当直について考えると今となっては懐かしいことをたくさん思い出します。

僕は2002年の春に大学を卒業し、医者になりました。そしてその年の5月に大学の小児科の医局に入りました。大学病院の給料があまりに薄給であったため、6月には他の科の先輩に紹介されて生まれて初めて当直というものをしました。そこは神戸の小高い丘の上にある古い古い老人病院でした。夜になると神戸の海の夜景がきれいに見えます。ただ昔の療養所の造りで、当直室は四畳半1間で、真ん中にはこたつがぽつんと1つ。病棟と病棟をつなぐ渡り廊下は建物の外にあり、夜21時の回診はたびたび外に出なければなりません。はじめての当直で、医者になったばかりで知識も経験もない、その上、建物は古くて怖いし、外にも出ないといけないという状況で、内心本当に怖くて、ここから生きて帰れるのかと24歳の僕は一人で真剣に考えていました。2002年はちょうど日韓ワールドカップの年でした。そのはじめての当直の日はワールドカップの開会式、開幕戦のフランス対セネガルの試合がテレビで放映されていました。怖すぎて当直室でサッカーに集中しようとひたすらテレビを見て、サッカーが終わっても一晩中テレビをつけっぱなしにして寝たことを思い出します。

それ以降、小児科時代は月に4-8日くらいの当直を続けてきました。夜中に新生児室で一晩中赤ちゃんに点滴の針を刺し続けてそれでも点滴が入らず、先輩に電話して来てもらったこと。腸重積の子が来て、1時間くらいしてもなかなか治せずに小児外科の友達に電話したこと。けいれんしている子どもが来て、点滴から薬を入れたらけいれんは止まったけど、呼吸も一緒に止まってしまい、気管内挿管(呼吸するための道をつける手技)して呼吸が戻るのを待ったこと。怖いお父さんに怒鳴り込まれたこと。年末に36時間続けて当直をして120人の子どもを診察し、終わるときにはしんどすぎて吐いてしまったこと。一晩中寝れずに当直が終わって、翌朝に外来をし、夕方に帰ろうとしたら重症の患者さんが来て、主治医になり家に帰れなくなったこと。重症の患者さんがいて3週間の間、病院に泊り、家に帰れなかったこと。小児科の先生なら誰でも経験することですが、本当にたくさんの経験をさせてもらいました。こう考えると精神科の当直は救急車がいっぱい来たり、夜中に何時間もお話をお聞きすることはありますが、小児科に比べれば体には優しいのかもしれません(心はまた別問題ですが)。

それら一つ一つの記憶はかなり鮮明に残っています。それらの経験があるため、今になって患者さんを診るときにある程度は落ち着いて診られるというのがあるのかなと思います。

これからは外来という時間も場所もかなり限られた条件のもとで診療することになります。
そこでクリニックでは外来診療以外の診療体制や方法も模索していきたいと思っています。

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